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国際交流

ハワイ プナホウスクール SGLI(Student Global Leadership Institute) に参加して

粟辻翔大 2016年3月高等科卒業
 上智大学総合グローバル学部進学

[1] SGLIについて
 2015年7月19日から8月1日まで、ハワイのプナホウスクールで開催されたSGLI(Student Global Leadership Institute)に参加しました。
 このプログラムの目的は国際的に活躍できるリーダーの育成であり、2週間のハワイ研修では様々なグループワークやディスカッションなどを行います。今年度は世界10ケ国(アメリカ、中国、デンマーク、イギリス、インド、日本、ヨルダン、ニュージーランド、韓国、スウェーデン)から25の学校、約90名の高校生が参加しました。

7/19(日)7/20(月)7/21(火)7/22(水)7/23(木)7/24(金)7/25(土)
到着日
Welcome meeting
Intro Activities
Equity game 等
Ice-breakers
Asia Pacific Center for
Security Studies訪問
講演会
Community Night 等
情報交換
メンターと会う
講演会
Equity Game
Scavenger Hunt
Student Social Activity
7/26(日)7/27(月)7/28(火)7/29(水)7/30(木)7/31(金)8/1(土)
自由行動日の出の見学
マングローブ伐採体験
ボランティア体験(1)ボランティア体験(2)最終プレゼン準備最終プレゼン
パーティー
帰国日


 SGLIでは毎年1つテーマが設定されます。今年のテーマは"Equity"(平等)でした。ハワイでは、世界各国が抱える平等を巡り世界10か国の高校生と議論や情報交換を行い、そして帰国後学んだことをどうすれば自分の国で還元できるかを話し合いました。 平等と一言でいっても国ごとに抱えている問題は異なります。高等科含め、多くの参加校が自分たちに身近なテーマということで"教育"の平等性を取り扱っていましたが、例えばスウェーデンの学校はシリアなどから来た難民のために教育の場を提供するという視点から不平等を是正しようとしたり、アメリカの学校では英語がネイティブでない移民のために英語の音声教材を配布することで教育格差を埋めようとしていました。 
 また、SGLIは全て英語で行われるため、高1から高2の1年間スペインに留学した経験はあるものの、英語圏に行くのは初めてだったため最初は英語についていくのが大変でした。参加している高校生の大半は英語がネイティブではないのですが大半は英語圏に住んだ経験がある学生だったため英語力が非常に高く、ディスカッションなどでは苦労しましたが、大変な分言いたいことが伝わったときは達成感がありました。このようなアクティビティは大体3時くらいに終わり、その後は自由時間になります。僕は韓国の高校生やハワイの現地の高校の生徒たちと仲良くなり、自由行動では一緒にアラモアナショッピングセンターに行ったり、ワイキキビーチに行ったりとハワイを満喫しました。自由行動の日には、彼らと真珠湾に見学に行きました。彼らとはいまだにFacebookなどで連絡を取り合っています。 


[2] 帰国後、何をしたか?
 私たち高等科のチームは高等科内における留学や国際交流の機会の不平等に焦点を当てることにしました。高等科では毎年20名ほどの学生が海外留学を経験しますが、その費用は大変高額です。そのため、僕の周りにも興味はあるが費用を考えるとあきらめざるを得ないという生徒がおり、そういった生徒のために国際交流の機会を提供することを試みました。具体的には、文化祭における留学報告会の実施と平等をテーマとしたシンポジウムを行いました。まず留学報告会についてですが、僕自身が高等科の国際交流委員会という主に留学から帰国した学生と高等科に来ている留学生がいる委員会の委員長をやっていたため、国際交流委員会の文化祭の展示という形で、今年度留学から帰国した学生と高等科に来ていたフランス人留学生とスペイン人留学生に自身の留学体験についてプレゼンテーションをしてもらいました。2日間で10回ほどプレゼンテーションを行い、院長先生や学習院大学の国際社会科学部の教授の方々もいらっしゃってくださいました。 
 次にシンポジウムについてですが、ちょうど開催した11月に高等科の協定校であるアメリカのSt.Paul's SchoolのApryl Doyle先生が教員交換でいらっしゃっていたため、ご自身もアフリカ系アメリカ人であるDoyle先生にアメリカにおける黒人差別について講演していただき、続いて高等科社会科教諭の岩垂雅子先生に男子校における女性教員というテーマで講演いただきました。シンポジウムには男子部中高だけではなく、女子部の生徒も多数参加し、講演後のグループディスカッションは男子部、女子部、留学生と全部ミックスして行いました。
  今回、高等科のSGLIのチームで行った留学報告会やディスカッションなどの活動が、私たちが卒業した後も国際交流を希望する生徒のニーズに応えられるようなものとして続いてくれることを願います。 
 最後に、今回のSGLIにおいてハワイでの2週間の引率のみならず留学報告会やシンポジウムの実現に多大なご尽力とご指導をいただきましたHamish Forrester先生、本当にありがとうございました。

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留学することの意義

高等科3年 中村勇人

 
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 私が留学をしたいと思ったそもそものきっかけは、コンピュータ/ロボットエンジニアになり、ある分野について研究をしたいという夢があったためです。またその分野で第一線の研究者になるためには、英語は避けては通れない道であると気付いたためです。日本語で得られる情報というのは、全体から見るとごくわずかであり、大多数の情報は主に英語で発信されています。これは私にとって大きな障害でした。そこで英語を効率良く学べる方法は何かと考えたとき、それは留学だと思い、アメリカへ行くことを決意しました。
 少しホームステイ先の町について説明させてください。私はアメリカのペンシルベニア州にあるエリーという町にホームステイしました。エリーは非常に寒い町で、冬はマイナス20度まで下がることもあります。エリーは五大湖のうちの1つであるエリー湖に面していることでも有名で、このエリー湖は遠浅で美しい青色をしており、またどこまでも白い砂浜が続くため、言葉では説明できないほど美しいです。初めてここを訪れたとき、その桁違いの広大さに驚きつつも、"アメリカ"を実感しました。このエリー湖は冬になると水面が凍り、その上を歩くことができます。私は実際ホストファミリーと行きましたが、360度見渡す限り白銀の世界が広がっており、そのスケールにただただ驚き、茫然としたのを覚えています。
 1年間の留学というのは本当に長いものでした。誇張ではなく、本当に様々なことを様々な人・ものから学ばせてもらいました。その中で一番心に残っていることを紹介したいと思います。
 私が通っていた学校で選択していた世界史の授業では、いつも生徒と先生を交えて自由にディスカッションをする時間があります。クラスには、アメリカ人、中国人、そして日本人の私がいて、国際的な歴史的事件、例えば世界大戦、を扱う際、生徒の考え方は国ごとに全く異なっていました。領土問題もその一つであり、実際日本と中国は尖閣諸島をめぐり衝突をしています。私は留学中色々な中国人の友人とこれについて話し合いましたが、彼らは皆、尖閣諸島は中国の領土だ、と主張します。なぜ国ごとにこうも歴史が違うのか私には納得できませんでした。歴史というのは唯一不変であるべきであり、国ごとに違って良いはずがないと思っていたからです。しかし、ふと考えてみると、様々な国の生徒が異なった意見を持っているのは、彼らが異なる解釈をしているからであり、異なる歴史を学んだからというわけではないということに気付きました。「事実というものは存在しない、あるのは解釈だけだ。」 これはドイツの学者の言葉ですが、改めてなるほど、そういうことなのか、と実感しました。私たちは他の人の考え、すなわち解釈の仕方を理解しようとしなければ、分かり合えないのだと思います。
 私は現在、アメリカの大学に進学し、夢をかなえるため努力をしていますが、その中で様々な人と衝突するだろうと思います。そうしたときは常に、この留学で培った経験をいかし、乗り越えていきたいです。
 最後に、いまここに私がいるのは、紛れもなく留学を支援してくれた両親や学校のお陰であり、心から感謝しています。もし留学をしたいと考えているのなら、是非挑戦してみてください。海の向こうには私たちの知らない世界が広がっています。