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在校生父母

「裁判員裁判」雑感 1年父 徳田 薫

 仕事柄,裁判員裁判に対する皆さんの意識や考え方に関心を持っています.この制度の開始まで三年を切りました.拙稿をお読みになっている皆さんの中でも,三年後 には,裁判官と並んで刑事裁判に参加されておられる方がいると思います.しかしながら,各種のアンケート結果等をみると,この制度の意義が十分に伝わっているとは 言い難いようです.
 ところで,日本は「格差社会」であると言われることがありますが,この背景にあるのは,「他人事」には関心を寄せず,自分と家族や友人等の「身の回り」だけが豊 かで幸せであればいいという意識だと思います.「格差」をなくすためには,社会保障の拡充も重要ですが,何よりも,私たちが同じ社会,同一の共同体の中で生活して いるという意識を育むことが必要だと思います.
 そこで裁判員裁判ですが,この制度は,裁判員の皆さんが,日常生活の中で培った常識や感覚を,それぞれの言葉で伝え合うことが前提とされています.つまり,裁判 員裁判は,社会の中で生起した犯罪を「共通」のテーマとし,自分の意見を述べ合うことにより成り立つ制度です.このような制度を根付かせることは,単に裁判が身近 になるにとどまらず,私たちの間に,「同じ社会,同一の共同体の中で生活している」という意識を醸成することに繋がるのではないでしょうか.
 さて,父親の視線でみると,学習院で学ぶ長男,二男は恵まれた環境の中で,良き友人を作り,有意義な学生生活を送っているようです.彼らの成長を楽しみ にしつつ,願わくば,学習院の教育理念である「豊かな感受性」を育んで,社会の出来事を自らの問題として関心を持つようになって欲しいと思っています.

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