福原和人
〈略 歴〉2003年3月 高等科卒業
2003年4月 学習院大学理学部化学科入学
2007年4月 学習院大学大学院自然科学研究科(化学専攻)進学
2009年4月 株式会社資生堂入社(スキンケア研究開発センター)
こんにちは。私は2003年に学習院高等科を卒業し、学習院の理学部化学科へ進学しました。その後さらに博士前期課程に進学して研究者としての基礎を築くため研究・勉強の毎日を送っています。この4月から会社へ勤務することが決まり、現在は社会人としてのスタートを待ちわびています。長い間学習院にお世話になり(なんと18年間!)、今改めて学習院の良さを顧みると本当に良い学校だったな~と思っています。
高校に入ると色々なことを考え始めるようになります。中でも、「将来自分は何をしたいのか?」という悩みは(少数の人を除いて)誰しもが抱える問題ではないでしょうか。そこでほんの一例ではありますが、ここにも同様の悩みを過去に抱えた先輩がいたことを理解していただき、私自身が考えたことを少し綴ってみようと思います。
高等科時代、実は私、将来のことに関してはあまり考えていませんでした。部活動(バスケットボール部)に夢中で、寝ても覚めてもそのことばかり考えて...1年次に理系コースを選んだのも、そのほうが選択肢が広がるだろうという損得勘定だったと記憶しています。で、気づいたら3年生になり進路を決めなくてはいけなくなってしまったわけです。そりゃもう、最後の最後まで悩みました。
ただ、昔から絶対に曲げたくない信念(というと格好良いけど実際は単なる「こだわり」)が私にはあったのです。それは、
「他の人と違うコトがしたい。誰も知らないことを知りたい。」
ということ。例えば大好きだったバスケットボールを例に挙げれば、バスケットシューズは誰とも被らないものをいつも選んでいたし、NBAの情報だって誰よりも詳しい自信がありました。(変わり者と言われてしまえばそれまでですが...。)それだけです。あとは、漠然としたサイエンスへの興味があるという理由で、他に誰も高等科から志願者がいなかった学習院大学理学部化学科へ進学しました。(注:他大受験をしなかった理由も色々とあるのですが、ここでは割愛します。)
さて、結果としてそこで私は「目覚め」ました。学ぶことの楽しさ、自分で物事を進めていく喜びを覚えたのです。辛い勉強だってもちろんありましたが、大学の勉強はただ試験で良い点を取るためでなく、自分の研究を進めるためにするという部分も大きいので全く苦痛ではありませんでした。大学入学当初の期待より何倍も良い環境で、思う存分サイエンスを学び、特に研究室でオリジナルの研究を始めた時にはすっかり科学研究の虜になってしまいました。でも、気持ちとしては、高等科時代にバスケット雑誌を片手に好きな選手について得意気に語っていた時と何ら変わりがありません。違うのはそれが「世の中に貢献した成果として認められる」ということです。理系学部に入れば学生の時から実績を上げることができ、自分の結果が世界中の研究者と共有できるのです。好きなことをやって、結果を大人から認めてもらえる。それって最高じゃないですか? 私は4年生から大学院を通じて3回の国内学会と1回の国際学会の参加することができました。国際学会はドイツのケルン大学で行われたのですが、自分が頑張って行った研究を海外の人が評価してくれるという感動は、言葉にならないほど嬉しかったです。
高等科を卒業してまだ6年。その期間で自分なりの成果を上げられたことはとても自信になりました。社会に出ればさらに数十年の時間がある訳で、その間どれだけ自分自身が成長できるか、今から楽しみで仕方ありません。先述のこだわりである「Be Differentの精神」、それだけでも強く思っていれば道は開けるのかもしれません。将来、また誰にも成しえなかったような成果をあげられるよう、今後も一生懸命に自分の可能性を模索していきたいと思います。
そして、なんだかんだやっぱり私の原点は学習院中・高等科なのだと思います。中・高等科は好きなことを存分にさせてもらえる環境、幅広い教養を身につけさせてくれるカリキュラム、大学の専攻を多くの選択肢から選べるアドバンテージなど、良いところを挙げたら枚挙に暇がありません。何より、当時は意識していなかったけど、先生方が何かを学ぶことに対してどんどん背中を押してくれたから今の自分があるのかなぁと最近思います。早く自分自身社会で活躍して、その恩返しがしたいと今考えています。
もしこれを読んで下さった方が何をしたいか迷っているのなら、理系学部に(願わくは学習院大理学部に)進学することを選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。きっと楽しい世界が待っています。あ、数学の成績とかは全然関係ありませんから、念のため。
それでは、皆さまと一緒に社会で活躍できる日を楽しみにしています。