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卒業生からのメッセージ

別に褒めてはいませんが...

平成22年 高等科卒業
学習院大学 心理学科 3年
鈴木香里武

 僕は高1の冬に、突然金髪にしました。今風のカッコイイ髪型ではなく、古臭いオスカルみたいなイメージです。校則に違反していないとはいえ、世間一般から見ると、「何かに反抗している」、「不良だ」、「チャラい」といった印象を持たれるでしょう。金髪での登校初日、高等科の先生方からかけられた言葉は、「お、いいじゃんそれ!」、「ベニスに死すみたい」など。極めつけは「欧米か!」でした。高等科とは、そのような学校です。
 僕のことではありませんが、同級生には「変わり者」もいました。つまり、大多数の人から見ておかしな言動をする人です。普通ならいじめられたり、無視されたりするタイプなのでしょうが、高等科は違います。その人のありのままを、クラスメートは受け入れています。「変わり者」という概念は、生まれてもすぐに消えてしまうのでしょうか。高等科とは、そのような学校です。
 文学部心理学科への内部進学を決めた僕にとって、高3の数学の授業、微分や積分といったものは、将来役に立つ勉強とは思えませんでした。ただ、担当の先生の数学に対する愛情がすごいんですね。僕らに教える以前に、まずご自身が問題に酔っていらっしゃった。そうすると、不思議なものです。教える側が教える内容に強い魅力を感じていると、教えられる側にも魔法のように伝わって来て、いつの間にかのめり込んでしまうのです。高等科とは、そのような学校です。
 僕は同級生との付き合いが悪く、部活もしていなければ、昼休みに皆と遊ぶこともほとんどありませんでした。典型的な、埋もれるタイプの生徒ですね。それでも、先生から心配されることはありませんでした。学校以外の時間、僕は秘密結社を作っていたほどご縁に恵まれていたからです。目に見える学校生活のみで判断されていたら、心配されたことでしょう。高等科とは、そのような学校です。
 大人はよく、子どもに対して「正論」を言います。例えば、「社会に出たら辛いこともたくさんあるから、今は学生として精いっぱい楽しみなさい」とか、「まだ若いから、焦らず、まずは自分についてよく考えて、自分を磨いていきなさい」とか。今と将来とを分けて考えた意見です。学生のうちに社会に関わるような取り組みを始めると、「まだ早い」、「中途半端だ」と決めつけられることが多い世の中です。僕は高等科生のときから仕事の準備をしていましたが、先生方は「おもしろい」と言ってくださいました。そのおかげで、予定通り大学1年で起業できました。高等科とは、そのような学校です。
 高校生は、それぞれ何かしらの専門分野を持っています。趣味と言った方が良いでしょうか。ある人は音楽、ある人は美術、ある人は動物。各々がその分野において「先」に「生」きています。高等科の先生方は、生徒と対等に話してくださいます。だからなのでしょうか。皆、先生の名前を呼ぶとき、「○○さん」と呼びます。高等科とは、そのような学校です。
 時々、無性に高等科に遊びに行きたくなります。高等科とは、そのような学校です。


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