僕は沖縄の戦争について書かれた本を読みました。主人公の少女はひめゆり学徒隊として戦場に送り込まれました。
一番印象に残ったのは、ある壕で出会った看護婦とその母との話で、ある日、母が艦砲射撃の破片を受けて重傷を負ったのです。しかし娘である看護婦は兵隊さんに使う限られた薬を母に使うことはできないと言って治療しなかったのです。もちろん母はその三日後に死んでしまいました。僕だったらそんなこと絶対にできないと思いました。
また、沖縄戦が住民を巻き込んだただ一つの国内戦であったことや、日本軍が沖縄県民をはじめからスパイ視しており、住民虐殺や壕追い出し、食糧強奪など卑劣な行為をしていた事実を初めて知りました。もう一つ驚いたことは、軍人をはるかに上回る住民の戦死者であったことです。「軍隊は住民を守らない」という教訓までもあるのです。軍人よりも住民の戦死者の方がはるかに多いなんてとても残念に思いました。
戦争で得ることは、悲しみと敵に対する憎しみだけで楽しいことなど一つも無いことが改めて心に響きました。
読んでいる途中、もう読みたくないと思うほど悲しいことが繰り返されるのです。主人公の少女は上から降ってくる大砲や、せまりくるアメリカの兵隊から逃げ、その途中、怪我をした兵士の治療をしてまた逃げて、友人が死に、また逃げるといった精神的にも肉体的にも自分だったらとても乗り越えられるものではない現実だと思いました。ましてや、自分が兵士だったらと考えると、自分自身が爆弾となってアメリカの艦隊に突っ込むことができたか、国のために死のうと思ったかと聞かれたら百パーセントできないと思いました。それが戦争のとき、自分とたいして年が変わらない人、すなわち人生の五分の一も生きていない人達が死んでいったなんて思うと胸が痛くなりました。また、怪我をして戦うことができなくなった兵士達には青酸カリの入ったミルクを飲ませて殺してしまうのです。同じ戦友なのに、なぜそこまでしなくてはならないのかと思いました。
主人公の少女は、命からがら生き残り、戦争が終わった後、戦死した友人の家へうかがうと友人の母は、なぜあなたは生き残ってうちの娘が死ななければならないのよ!などといわれてしまうのです。戦争で辛い思いをして生き残ったのに戦後も辛い思いをしていると思うと涙が出そうになります。最近のイラクでの戦争や、同時多発テロで罪の無い一般市民の人々が亡くなっているのは非常に残念だと思い、今、戦争で辛い経験を乗り越えた日本などの国が立ち上がって今まで以上に平和を世界に訴えないと、人間は同じ過ちを繰り返すだけだと思いました。
こんなにも真剣に平和が大切だと思ったのは生まれて初めてでした。それと同時に、日本で起きた戦争のことを良く分かっていなかった自分を恥じました。