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2019年度入学式

2019年度入学式が行われました。
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科長告辞

学習院高等科

科長 武市 憲幸


                            


高等科入学式告辞新しい季節が始まり、樹々の緑も新鮮に目に映るこの日に、今年度の入学式を行えることを大変うれしく思います。
 新入生のみなさん、そして保護者の皆様、本日は、ご入学おめでとうございます。
学習院は古い歴史を持つ学校です。その源は幕末の京都にまで遡りますが、明治10年神田錦町で官立の学校としてスタートを切ったところから正式な歴史が始まります。明治10年というと西郷隆盛が明治新政府に対して挙兵した西南戦争が起こった年です。それから70年、第2次大戦後、私立の学校として院歌に謳われる「新学習院」の時代が始まり、さらに70年余りを経て現在に至っています。そして8年後の2027年には創立150周年を迎えることになります。みなさんもこの長い歴史の中に新たな1ページを加えることになるわけです。ただし、長い歴史、伝統ということだけに安んじていては、本当の意味での歴史を刻んでゆけません。歴史とは、常にその意味を問い返すことによって価値が生まれるのではないでしょうか。その意味でこれから学習院の教育方針「広い視野」、「たくましい創造力」、「ゆたかな感受性」と「個性」について改めて話してみたいと思います。
私たちが君たち新入生のみなさんに望むのは、高等科在学中の3年間に、存分に自分の個性に磨きをかけて欲しいということです。「個性」とは、言うまでもなく「自分らしさ」でありますが、それは当然単なる「ひとりよがり」、「わがまま」とは区別されねばなりません。真の個性とは、自分とは違う価値観を持つもの、あるいは異質なものと時にはぶつかり合い、時には交じり合い、いわばやすりにかけられた結果生まれてくるものなのです。こうした作業の果てに、文字通り「磨きをかけられ」て、ようやく確立されるのが真の「個性」です。ですから先ほどの「広い視野」、つまり「異質なものと出会う場所」は必ず必要になります。単に「好き」/「嫌い」で物事を判断して、自分とは異質なものとの出会いを避けていては、いつまでたっても本当の個性には巡り会えません。若い時期は、自分が従来信じていた価値観を根底から覆される体験も克服し、新たな形で再生できるチャンスを与えられている特権的な時期です。そのようにして何度も何度も葛藤を繰り返してこそ、本当の「個性」は確立されるのです。どうか自分の中の可能性をみずから封じ込めることのないよう、失敗を恐れず、なりふりかまわずにさまざまなことにチャレンジして下さい。
 これまで述べてきたように、「個性」とは単に与えられるものではなく、自分で生み出してゆくものなのです。ただし、せっかく生み出した「個性」が、「ひとりよがり」のものになってしまっては、元も子もありません。そのために大切になるのが「感受性」というものです。様々なものやこと、人に触れて「心を動かす」、もっと言えば「心を震わせること」が「感受性」です。この「感受性」は、よりよき「個性」を育んでゆく栄養分になってゆくのだと思います。そして忘れないで欲しいのは、「感受性」は、君たちくらいの年代でその土台が作られてゆくものだということです。どうか様々なものに出会い、「心を震わせる」機会をたくさん持って下さい。「豊かな感受性」とは、「豊かな人間性」でもあるのです。そして、その機会は、「学校」という場所だけに限られているものではないと思います。例えば、読書や音楽や映画など積極的にその機会を見つけに行きましょう。
 以上のように、「広い視野」により鍛えられ、「豊かな感受性」により育まれた「個性」こそが、「たくましい創造力」を生み出しうるのです。私も長い教員生活の中で、数多くの卒業生を送り出して来ましたが、高等科在学中に磨き上げられた「個性」によって、みずからの道を切り拓いて豊かな人生を歩んでいる君たちの先輩を数多く知っています。彼らの活躍の根っこに、高等科で過ごした時間の痕跡を見つけることは、われわれ教員にとっての大きな喜びです。君たちが高等科を卒業して、先輩たちのように、自分自身の真の「個性」を活かして豊かな人生を歩んでゆけるようにわれわれは、努力を惜しみません。3年間、共にがんばりましょう。
 父母保証人の皆様、本日の入学式には学校法人学習院を代表して、内藤院長、耀専務理事、平野常務理事、江崎常務理事にご列席いただいております。またご来賓として、東園桜友会会長、大野父母会副会長、沼田中高桜友会会長にご列席いただいております。私たち学習院高等科の教職員一同、心からご子息のご入学をお祝い申し上げます。
 高校生は中学生とは異なり、親から離れ、自立した存在へとその一歩を踏み出してゆく時期に当たります。保護者の方々は、これからご子息との適度な距離を保つことに苦労される場面も多々あるかと思います。「つかず、離れず」の距離を保つのは至難の業であり、試行錯誤を繰り返すしかないのかもしれません。草花を育てる時、水をやりすぎても、逆に足らなくても枯れてしまいます。さらに、それぞれの草花に必要な水の量も栄養も千差万別です。このことは、私たちが子供を育てる、一人前の自立した人間にする、ということにも通じるものがあると思います。われわれ教員は、一人一人の個性とじっくり向き合い、保護者の方々と協力して、やがては大きな花や実を結ぶように育ててゆければ、と考えております。
 本日のご入学を心よりお慶び申し上げます。
 以上をもちまして、入学式の告辞といたします。

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