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高等科NEWS

2020年度入学式

本来の予定より遅れること約2か月、6月2日火曜日に2020年度入学式が行われました。
感染症対策のため、例年よりも簡略化された挙行となりました。

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学習院高等科 科長

                                       武市憲幸

                               

高等科入学式告辞

 

 「新入生のみなさん、入学おめでとうございます。」

47日、君たちにこの言葉をかけて新年度のスタートとなるはずでした。みなさんもご存知のように新型コロナウイルの感染拡大という事態を受けて休校措置がとられ、およそ2か月遅れの入学式となってしまいました。本来ならば、在校生の諸君、保護者の方々、来賓の方々をお招きして式が行われるはずでしたが、感染防止を考えてこのように新入生のみなさんと教員のみの形になりました。時期が遅れたとはいえ、君たちが高等科に入学して、これから生徒の一員として新たなスタートを切るための大事な行事である、と考えてこのような形で入学式を行なうことに至りました。

 現在こうして壇上からとはいえ、君たちに直接語りかけることが出来て、うれしい気持ちでいっぱいです。休校期間中、生徒たちのいない学校は、なんとも奇妙で空虚な空間でした。このような状態がこのような期間続くということは私も未だかつて経験したことがなく、とにかく君たちにこうして会うことが出来て本当に良かったと思っています。

とはいえ、今日から新型コロナ以前の日常が戻って来るのだ、とはとうてい言えません。さらに、そのような意識を持つことはきわめて危険なことだと思います。このウイルス自体まだ不明な部分が多く、ワクチン開発にもしばらく時間がかかる、と言われています。一旦状況が落ち着いたかのように見えても、第2波の感染拡大がいつ訪れるか、予断を許さない状況であることは、みなさんもご承知の通りです。学校を再開するにあたって、私たちは、様々な感染防止策を講じて来ました。しかし何よりも大切なのは君たちの意識です。新型コロナウイルスを経験する以前の日常、世界とは違うのだという意識をそれぞれが共有しなければなりません。これからガイダンスなどで学校生活を送るうえで、注意すべきことがらが説明されると思います。どうか自分と自分の大切な人の命にかかわる問題として受け止めて下さい。

 私は、5月の初旬、生徒課が企画してくれた「プレ入学式」の中で君たちにビデオメッセージを送りました。その中で、「困難な状況にあっても、他人への思いやりを保ち続けて欲しい」と述べたことを覚えているでしょうか。もしかしたら、なにやら説教くさく感じた人もいるかもしれません。ただ、現在、この「他人への思いやり」ということは、抽象的な「説教」の域を超えた、きわめて差し迫った問題になった、と言えるのではないでしょうか。学校生活においても、今まで以上に「他人」の存在に自覚的になることが必要なのはもちろん、それは、現在の社会全体に問われていることがらなのです。

むろん「他人を思いやる」とは、「他人の顔色をうかがう」ことではありません。自分とは異質の存在である「他人」が、どのように感じ、どのように思うのか、「思いを及ぼす」、「思いを馳せる」、すなわち想像力を働かせるたうえで、思考したり、行動したりするということです。

 学習院の教育目標は「ひろい視野」「たくましい創造力」「ゆたかな感受性」という三つのことばであらわされています。最初に掲げられている「広い視野」とは、つまりは、先ほどから述べている自分とは異質の価値観を持つ「人」や「もの」や「こと」に出会うこと、そしてその出会いを通して「自分」自身を鍛え上げていくことである、と私は考えます。

 これから通常の授業が行われるようになるまで、まだしばらく時間がかかるでしょう。ただ、ビデオメッセージでも話したように、「できなくなったこと」を数え立てて、嘆いるだけでは何も始まりません。現在私たちに問われていること、対応を迫られていることに向き合い、「できること」に全力を尽くしていきましょう。

3年後、君たちが、高等科を卒業する時に、「ここに入学して良かった。」と心から思えるように、われわれも全力を尽くすつもりです。学習院は、その源をたどれば幕末までさかのぼる長い歴史を持つ学校です。明治10年の開校から数えておよそ150年の歴史の中で、幾度かの試練を乗り越えて現在に至っているのです。確かに現在(いま)目の前に突きつけられている問題はとても大きなものです。しかし、それがいかに困難なことであろうと、君たちと共に乗り越え、歴史を未来へつないでいきたいと考えています。

 以上をもちまして入学式の告辞といたします。


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2020年4月7日 高等科の様子

2020年度4月7日に予定されていた入学式は、生徒等の安全確保の観点から延期させていただいています。
わずかではありますが、2020年4月7日の学習院高等科の様子をお伝えします。

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暖かい日も多かったため、葉桜が多くなってはいましたが、綺麗に咲いている桜もありました。
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高等科校舎へと続く道です。

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誰もいないグラウンドですが、遠くには桜も見られます。

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中高門からの道です。グラウンド、中高門、教職員一同で、高等科生が通学できるようになる日を心待ちにしております。


2019年度入学式

2019年度入学式が行われました。
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科長告辞


学習院高等科

科長 武市 憲幸


                            


高等科入学式告辞新しい季節が始まり、樹々の緑も新鮮に目に映るこの日に、今年度の入学式を行えることを大変うれしく思います。
 新入生のみなさん、そして保護者の皆様、本日は、ご入学おめでとうございます。
学習院は古い歴史を持つ学校です。その源は幕末の京都にまで遡りますが、明治10年神田錦町で官立の学校としてスタートを切ったところから正式な歴史が始まります。明治10年というと西郷隆盛が明治新政府に対して挙兵した西南戦争が起こった年です。それから70年、第2次大戦後、私立の学校として院歌に謳われる「新学習院」の時代が始まり、さらに70年余りを経て現在に至っています。そして8年後の2027年には創立150周年を迎えることになります。みなさんもこの長い歴史の中に新たな1ページを加えることになるわけです。ただし、長い歴史、伝統ということだけに安んじていては、本当の意味での歴史を刻んでゆけません。歴史とは、常にその意味を問い返すことによって価値が生まれるのではないでしょうか。その意味でこれから学習院の教育方針「広い視野」、「たくましい創造力」、「ゆたかな感受性」と「個性」について改めて話してみたいと思います。
私たちが君たち新入生のみなさんに望むのは、高等科在学中の3年間に、存分に自分の個性に磨きをかけて欲しいということです。「個性」とは、言うまでもなく「自分らしさ」でありますが、それは当然単なる「ひとりよがり」、「わがまま」とは区別されねばなりません。真の個性とは、自分とは違う価値観を持つもの、あるいは異質なものと時にはぶつかり合い、時には交じり合い、いわばやすりにかけられた結果生まれてくるものなのです。こうした作業の果てに、文字通り「磨きをかけられ」て、ようやく確立されるのが真の「個性」です。ですから先ほどの「広い視野」、つまり「異質なものと出会う場所」は必ず必要になります。単に「好き」/「嫌い」で物事を判断して、自分とは異質なものとの出会いを避けていては、いつまでたっても本当の個性には巡り会えません。若い時期は、自分が従来信じていた価値観を根底から覆される体験も克服し、新たな形で再生できるチャンスを与えられている特権的な時期です。そのようにして何度も何度も葛藤を繰り返してこそ、本当の「個性」は確立されるのです。どうか自分の中の可能性をみずから封じ込めることのないよう、失敗を恐れず、なりふりかまわずにさまざまなことにチャレンジして下さい。
 これまで述べてきたように、「個性」とは単に与えられるものではなく、自分で生み出してゆくものなのです。ただし、せっかく生み出した「個性」が、「ひとりよがり」のものになってしまっては、元も子もありません。そのために大切になるのが「感受性」というものです。様々なものやこと、人に触れて「心を動かす」、もっと言えば「心を震わせること」が「感受性」です。この「感受性」は、よりよき「個性」を育んでゆく栄養分になってゆくのだと思います。そして忘れないで欲しいのは、「感受性」は、君たちくらいの年代でその土台が作られてゆくものだということです。どうか様々なものに出会い、「心を震わせる」機会をたくさん持って下さい。「豊かな感受性」とは、「豊かな人間性」でもあるのです。そして、その機会は、「学校」という場所だけに限られているものではないと思います。例えば、読書や音楽や映画など積極的にその機会を見つけに行きましょう。
 以上のように、「広い視野」により鍛えられ、「豊かな感受性」により育まれた「個性」こそが、「たくましい創造力」を生み出しうるのです。私も長い教員生活の中で、数多くの卒業生を送り出して来ましたが、高等科在学中に磨き上げられた「個性」によって、みずからの道を切り拓いて豊かな人生を歩んでいる君たちの先輩を数多く知っています。彼らの活躍の根っこに、高等科で過ごした時間の痕跡を見つけることは、われわれ教員にとっての大きな喜びです。君たちが高等科を卒業して、先輩たちのように、自分自身の真の「個性」を活かして豊かな人生を歩んでゆけるようにわれわれは、努力を惜しみません。3年間、共にがんばりましょう。
 父母保証人の皆様、本日の入学式には学校法人学習院を代表して、内藤院長、耀専務理事、平野常務理事、江崎常務理事にご列席いただいております。またご来賓として、東園桜友会会長、大野父母会副会長、沼田中高桜友会会長にご列席いただいております。私たち学習院高等科の教職員一同、心からご子息のご入学をお祝い申し上げます。
 高校生は中学生とは異なり、親から離れ、自立した存在へとその一歩を踏み出してゆく時期に当たります。保護者の方々は、これからご子息との適度な距離を保つことに苦労される場面も多々あるかと思います。「つかず、離れず」の距離を保つのは至難の業であり、試行錯誤を繰り返すしかないのかもしれません。草花を育てる時、水をやりすぎても、逆に足らなくても枯れてしまいます。さらに、それぞれの草花に必要な水の量も栄養も千差万別です。このことは、私たちが子供を育てる、一人前の自立した人間にする、ということにも通じるものがあると思います。われわれ教員は、一人一人の個性とじっくり向き合い、保護者の方々と協力して、やがては大きな花や実を結ぶように育ててゆければ、と考えております。
 本日のご入学を心よりお慶び申し上げます。
 以上をもちまして、入学式の告辞といたします。

2017年度入学式

2017年度入学式が行われました。

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科長告辞
学習院高等科
科長 武市 憲幸

 新入生のみなさん、本日は入学おめでとうございます。学校として新しいスタートを切るこの日に、みなさんを迎え、この会を行えることを大変うれしく思っています。
 この学校は、古い歴史を持ち、その始まりは幕末の京都にまでさかのぼります。「学習院」という名は、島崎藤村の幕末を舞台にした「夜明け前」という小説にも出てまいります。また夏目漱石の評論として有名な「私の個人主義」という講演も、漱石が依頼を受けてこの学校で行われたものです。幕末にその始まりを持つ学習院は、維新後、明治10年、神田錦町に創設されたことを公のスタートとしていますので、それからでもすでに140年あまりの歴史が流れているわけです。
 本日この学校に入学された新入生の諸君も、こうした長い歴史の中に、新たな歴史を付け加えてゆくことになるわけです。ただし長い歴史があるということだけに安んじていては、新たな歴史につなげてゆくことはできないでしょう。歴史とは、常にその意味を問い返すことにこそ価値があるのではないでしょうか。ですから今日私は、ここで学習院の教育方針「ひろい視野」、「ゆたかな感受性」「たくましい創造力」、について改めて話してみたいと思います。
 まずは「ひろい視野」についてです。
「ひろい視野」とは、自分の小さな殻の中に閉じこもっていては手に入れることはできません。自分とは異質な価値観を持つ人や、モノやコトに触れ合うことによって得られるものではないでしょうか。クラスの中で、クラブ活動の中で、あるいは様々な教科の教員からたくさんの刺激を受けて欲しいと思います。自分の「個性」を他人の「個性」とぶつけあい、いわば「やすりにかけてゆくこと」が自分の本当の個性を発見してゆくことにつながってゆくのです。こうした過程を経ずに形作られる「個性」とは、独善的な思い込みに過ぎません。ですから、どうか単に、好き/嫌いという二分法だけでものごとを決めつけてしまわないで欲しいと思います。自分とは異質なものにこそ「世界」を広げる可能性がはらまれていることを忘れないでください。
 次に、「ゆたかな感受性」について話します。
「感受性」とは、人やモノやコトに触れて「心を動かす」、もっと言えば「心を震わせる」ことだと思います。ですから先ほどの述べた「視野」、つまり自分の触れ合う世界が広がってゆけば、おのずと「感受性」を働かせる幅も広がってゆくわけです。そして、その感受性を働かせる場は、何も「学校」という限定された場だけではないでしょう。例えば読書であったり、映画や音楽であったり、たくさんのものに触れて、「心を震わせ」て欲しいと思います。なぜならこの「感受性」というものは、君たちくらいの年代にその土台が形作られるからです。「ゆたかな感受性」とはつまるところ「ゆたかな人間性」につながってゆくのではないでしょうか。自戒の意味も含めて申しますが、どうか「つまらない大人」にならないで下さい。
 最後に「たくましい創造力」についてです。
「創造力」とは言うまでもなく、何かを生み出す力です。「何かを生み出す」というと、とても大袈裟なことのように聞こえるかもしれませんが、結果がすべてではありません。自分自身が、何かを生み出そうとして、一生懸命になること―生み出そうとするものがどのようなものであろうと、そのひたむきさこそが、人の心を打つのだと思います。そして「たくましい創造力」とは、「広い視野」と「ゆたかな感受性」に裏打ちされてこそ、その場限りのものではない真の意味で人の心を動かす力を持った「創造力」になるのだと思います。
私自身長い教員生活の中でこうした「たくましい創造力」によって自分の道を切り開いている多くの卒業生たちを知っています。そうした卒業生たちの存在が自分の長い教員生活を支える糧になっているといっても過言ではないでしょう。これから新しく高等科生活を始める新入生諸君も、先輩たちに続いて「たくましい創造力」を身につけて、充実した人生を歩んでほしいと思います。
 父母保証人の皆さま、本日の入学式には学校法人学習院を代表して内藤院長、耀専務理事、岩浅常務理事、荒木常務理事にご列席いただいております。またご来賓として東園桜友会会長、小堀父母会会長、一條中高桜友会会長、渡邊中高桜友会副会長にご列席いただいております。私たち学習院高等科の教職員一同、心からご子息のご入学をお祝い申し上げます。
 高校生は中学生とは異なり、親から離れ自立した存在へとその一歩を踏み出してゆく時期に当たります。保護者の方々は、これからご子息と適度な距離感を保つことに苦労される場面も多々あるかと思います。この時期の子供たちを「見守る」ということが、いかに難しいものかということは、私自身も、息子を一人持つ親の身としても日々実感しております。
 草花を育てるとき、水をやりすぎても、逆に足らなくても枯れてしまいます。さらに、それぞれの草花に必要な水の量も栄養も千差万別です。これは、私たちが子供を育てる、一人前の自立した人間にする、ということにも通じるものがあると思います。われわれ教員は、一人一人の個性にじっくりと向き合い、保護者の方々と協力し、ともに試行錯誤を繰り返しながら高等科3年間に寄り添ってゆけたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、入学式の告辞といたします。


2016年度 入学式

2016年度 入学式が行われました.
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平成28年度高等科入学式・始業式
科長告辞
学習院高等科
科長 林 知宏

 新入生のみなさん,入学おめでとうございます.今年も桜の花が舞う中,入学式を行えることをうれしく思います.みなさんが入学した学習院高等科は歴史を持った学校です.現在ある日本の学校の中でも最も古くに作られた学校の一つです.明治以前に京都で出発し,その後1877年,明治10年に神田錦町に創設されたことを公のスタートとしています.以来,140年近くの時間が経過しています.それは一人の人間が体験できる人生の長さをはるかに上回り,何世代にもわたる期間,学校が存在してきたことを意味します.この目白に学習院が移ってきたのは,1908年,明治41年です.長きにわたり,人々がここに集まり,そして巣立っていきました.目白という町やこの学習院のキャンパスの目に見える風景は大きく様変わりしました.しかし歳月が施す浸食作用に耐えて,この高等科は10代後半の伸び盛りの若者を成長させる場として一貫した役割を果たしてきたと言えます.本日のこの喜ばしい入学式の場で,みなさんに今後の学校生活をする上での鍵となることを話したいと思います.
 みなさんが本日入学した高等科について,卒業生,在校生はしばしば「自由な学校」であると言います.細かな行動の制約が少なくなることは確かです.まずみなさんにはこれからの3年間を通じて,その行動の自由が与えられることの意味を考えるよう強く求めます.最大のテーマと言っていいでしょう.制約が少なくなることを何につなげるのか?そこには当然,ある期待が込められています.大人の指示に従って物事を実現することも大事ですが,むしろ自ら課題を設定し解決に向けて歩んでいくことを望んでいます.何を学ぶのか?何のために学ぶのか?そしてどのように取り組むのか?まず,自らに問いかけ,自分自身を理解し,将来の姿を想像して,必要な努力をしてもらいたいと思います.自分がどういった人間なのかを問う作業は他人にはすることができません.みなさん自身のみが問いかけをし,答えを出すことができるものです.もちろん,大人たちが解答を与えてくれるなどと期待するのは間違いです.主体性をより強く意識することで自らの可能性の発見につなげて欲しいと思います.大人になっていく上で,どうしても通らなければならないプロセスです.そのために中学時代よりも行動の自由が与えられるのだということを,この高校時代の学校生活の中でまず第1に心にとめて欲しいと思います.
 一方,学校の日常が集団生活である以上,自分とは違う他者がそこに存在していることも自覚して欲しいことです.互いに多様な個性と考えを持った人間からなる学校は,社会の縮図と言ってもいいでしょう.高等科には,すでに年齢の異なる教職員,先輩たちがいます.彼らは時に壁となって立ちはだかるときもあるかもしれません.しかし学ぶことは多くあるはずです.あるいは同級生でも今までに十分知り得なかった人もいるはずです.または中等科の時代からよく知っているはずの同じ人たちが次第に変わっていく様子を目にすることもしばしばあるでしょう.他者とかかわりを持ち,働きかけ,良き人間関係を作り上げていく,それも全員共通の課題です.心にとめてもらいたい第2の点です.ただ集団の中では,望むことと実際に手に入れられるものとのギャップのあることを実感し,大いに悩むこともあるかもしれません.いくら行動の自由を手にするとはいえ,何でも自分の思うようになるわけではありません.みなさんがこの高等科の学校生活を通じて,様々な考えを持つ人間たちがどのようなメカニズムで共存していくのか,多くのことを学んで欲しいと思います.どんなにツールが発達しようとも,結局最後は人と人とが対面して言葉を交わすことに尽きます.自分と異なる他者の存在をつねに現実的なものとして意識する.それを肝に銘じて欲しいと思います.そして言葉を発することは,みなさんの内面の成長と直接結びつきながら行われるはずです.狭い仲間内だけの拙い言葉をもてあそぶのではなく,的確に深い意味を伴った,より豊かなコミュニケーションができる人間になることを期待しています.新たな人間関係を作り,みなさん自身の世界を拡げることは,また大人に成長していくために不可欠な事柄です.外側に人とのつながりが広がっていくと,自然に異なる他者と自分自身との比較が行われるでしょう.そしてもう一度自分がどのような人間であるかという問いに立ち返ることになるでしょう.外界を広く意識することと自分自身の内側に向けた深い洞察,それら二つが両輪となって機能して,初めて学校生活は充実していくはずです.
 父母保証人の皆様,本日の入学式には学校法人学習院を代表し,内藤院長をはじめ,耀専務理事,岩浅常務理事,荒木常務理事が出席しております.また来賓として東園櫻友会会長,大野父母会副会長,一條中高桜友会会長にもご列席いただいております.私たち学習院高等科の教職員一同,心からご子息のご入学をお祝い申し上げます.高等科の3年間は何より心身が大きく成長し変化する時です.父母保証人の皆様と彼らとの距離感も変わってくることでしょう.父母・生徒・教職員が作る三角形がバランスを崩さないように,大人同士もコミュニケーションを大切にして,彼らの成長を見守りながらも,彼らが一歩前に歩み出そうとするときは,背中を後押していきたいと存じます. 
 新入生の皆さんあらためて学習院高等科への入学おめでとうございます.本日,こうして新入生を迎える式典を行い,長い学校の歴史に新たな1ページを加えることを心からうれしく思います.高等科は,未来において行動するための基礎を養う場です.さまざまな機会が提供されるはずです.積極性を備えて日常を過ごすならば,この3年間はかけがえのないものになるでしょう.自分の世界にだけ閉じこもり,誰かに手を引いてもらうことだけを期待していては,豊かな学校生活を送ることにはならないはずです.ともに充実した高校生活を作り上げていきましょう.みなさんが予想もしないような大活躍をすることを心から願いつつ,私の告辞とします.




入学式の後の始業式で、新任の先生が紹介されました.
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入学式

今年度の入学式が行われました。
暴風雨の影響を考慮して午後からの開始となりました。
まだ風は強かったですが台風一過(暴風一過?)の澄み渡る青空のもと
新入生を迎えることができました。
今年は桜が早くソメイヨシノは新芽を出していましたが、他の様々な花が見られました。

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1年生の主管の他、来日した留学生が紹介されました。
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科長告辞
学習院高等科
科長 林 知宏

 新入生のみなさん,入学おめでとうございます.みなさんが入学した学習院高等科は歴史を持った学校です.現在ある日本の学校の中でも最も古くに作られた学校の一つです.多くの人がここで出会い,多くを学び,たくさんの思い出を胸に刻んで巣立っていきました.学習院という学校は時を越えて人々に支えられ,また人々を支えてきました.この環境は時代が移り,人が集まり散じてなお変わらぬものを備えているはずです.
  いま,われわれの住む世界はグローバリズムの波にさらされています.簡単に国境を越えて,人や資本が移動する世の中になってしまいました.加えて国内に目を向けると,一昨年の3月11日以降,様々な解決すべき事柄がこの国を覆っています.にもかかわらず,大人たちが運営する社会はスピード感に欠けているように感じるかもしれません.問題が生じている現場では,人々は懸命に取り組んでいます.しかし全体として停滞しているように見えるのです.日本は決して未熟な知恵のない国ではないはずです.過去にできあがった日本のシステムは相応に強固で,あらゆる方向に網の目が張り巡らされています.しかしだからこそ,その過去の先例がかえって足かせになることもあります.経済成長とエネルギー問題,高齢化に沿った福祉の充実,社会基盤の維持と財政負担の軽減,どれも緊急性のある重要課題です.国内の産業を守ることと世界に向けて開かれた社会であることのバランスをどのようにとっていくのか,柔軟さと強靭さが求められます.ただ,異なる価値観を持った人々の中での合意形成は必ずや困難さを伴います.複数の人間が集まるところでは,方向性の違う利害や異なる欲求が渦巻いています.個人が思い描くことが単純に実現することのほうが稀だと思う方が無難です.みなさんの目から見ると,大人たちの世界は仕組みがよくわからないブラック・ボックスでしかないかもしれません.そこで何が行われているのか.まだ中身がみなさんたちの前に十分には開かれていないでしょう.
 実は,学校はその大人の社会の縮小版です.学校には,年齢の異なる教職員,先輩・後輩との人間関係,そして同級生同士の人間関係ができあがっています.集団の中で一定の秩序を守るためのルールがあります.同時に高等科生となって,いくらかの自由も手にできるようになります.みなさんは自分を取り巻く学校という「社会」とかかわりを持ち,自ら働きかけることもできるようになります.ここでは自分に何ができるか可能性を試すことができます.ただそこでは,望むことと実際に手に入れられるものとのギャップのあることを実感するかもしれません.ときには大いに悩むこともあるかもしれません.行動の自由度が高まることは,何でも自分の思うようになることとはまったく違うのです.みなさんが社会のミニチュア版をこの高等科の学校生活を通じて少しばかり体験して,どのようなメカニズムで人間たちが共存していくのか,多くのことを学んでほしいと思います.
 その際,特に求められるのは他者とのコミュニケーションだと考えます.自分自身の存在を他者に理解してもらうためにはどうすればよいのか.そこでは,何より個人の力が試されるのは言うまでもありません.ただ一人だけの世界で完結してしまうのでは足りないと思います.どんなにツールが発達しようとも,結局最後は人と人とが対面して言葉を交わすことに尽きるのです.それが何より重要であることに変わりがありません.自分の周りの人々と連携して,1+1が2以上になることを目指して欲しいと思います.いつしかみなさんは大人たちの運営する社会の中に入っていく時が来ます.そこに向けて歩んでいくために備えることがみなさん全員の課題です.成功よりも,どちらかと言えば失敗から学ぶことが多くあるのではないでしょうか.それこそが大人になるということの意味だと考えます.
 父母保証人の皆様,本日の入学式には学校法人学習院を代表し,波多野院長をはじめ,森田常務理事,堀口常務理事が出席しております.また来賓として内藤桜友会会長,小島父母会副会長,渡辺中高桜友会副会長にもご列席いただいています.私たち学習院高等科の教職員一同,心からご子息のご入学をお祝い申し上げます.高等科の3年間は何より心身が大きく成長し変化する時です.父母保証人の皆様と彼らとの距離感も変わってくることでしょう.父母・生徒・教職員が作る三角形がバランスを崩さないように,それこそ大人同士もコミュニケーションを大切にして,彼らの成長を見守っていきたいと存じます.
 学習院高等科はみなさんが未来において行動するための基礎を養う場です.さまざまな機会が提供されるはずです.その機会を生かすためにぜひ自ら一歩前へ出る気持ちを持ってください.積極性を備えて学校生活を送るならば,この3年間はかけがえのないものになるでしょう.過去に十分に考慮されてこなかった事柄はたくさんあります.それが何であったかを見極め,新たな領域を見出すことに挑戦する,それがみなさんのテーマだと考えます.誰かに手を引いてもらうことだけを期待していては,豊かな学校生活を送ることにはならないはずです.反対にもしみなさんが力を養い,自ら前へ進もうとするならば,まわりの人々はそっと背中を後押ししてくれるでしょう.
 高等科新入生のみなさんにとって高校生活が充実したものになり,みなさん自身が予想もしないような大活躍の場ができることを心から願っています.みなさんの一層の発展を祈りつつ,私の告辞とします.

2012年度入学式

入学式が行われました。
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科長告辞
学習院高等科
科長 林 知宏

 新入生のみなさん,入学おめでとうございます.みなさんが入学した学習院高等科は歴史を持った学校です.公には1877年,明治10年の創立です.すでに130年以上の歳月が流れました.現在ある日本の学校の中でも最も古くに作られた学校の一つです.多くの人がここで出会い,多くを学び,たくさんの思い出を胸に刻んで巣立っていきました.本日,みなさんがまた新たに歴史の一ページを加えたことを心からうれしく思います.正門の桜は例年のように,この入学式に合わせるかのように咲き誇っています.自然は今年もわれわれに春の贈り物をもたらしてくれました.正門の桜,新入生,そして新たな一年が始まる.この学校で何年過ごしていても,この入学式の瞬間に感じる気持ちには変わりがありません.学習院という学校は時を越えて人々に支えられ,また人々を支えてきました.この環境は時代が移り,人が集まり散じてなお変わらぬものを備えているはずです.
 昨年3月11日以降,いろいろな課題がこの国を覆っています.解決しなければならない問題はあまりにも多くあります.にもかかわらず,大人たちが運営する社会はスピード感に欠けているように感じるかもしれません.問題が生じている現場では,人々は懸命に取り組んでいます.しかし全体としてはかどっているように見えないのです.過去にできあがった日本のシステムは相応に強固で,あらゆる方向に網の目が張り巡らされています.日本は決して未熟な国ではないはずです.けれども,だからこそ物事が簡単には進んでいかないのでしょう.過去の先例がかえって足かせになることもあります.特に先進国と称される国々は,多少問題点が異なるとしてもみな同じ状況に陥っていると言ってよいでしょう.経済成長とエネルギー問題,高齢化に沿った福祉の充実,社会基盤・インフラストラクチャーの維持と財政負担の軽減,どれも緊急性のある重要課題です.異なる価値観を持った人々の中での合意形成は必ずや困難さを伴います.複数の人間が集まるところでは,方向性の違う利害や異なる欲求が渦巻いています.個人が思い描くことが単純に実現することのほうが稀なのです.みなさんの目から見ると,今は大人たちの世界は単なるブラック・ボックスでしかないかもしれません.そこで何が行われているのか.まだ中身がみなさんたちの前に十分には開かれていないでしょう.
実は,学校はその大人の社会の縮小版です.学校には,年齢の異なる教職員,先輩・後輩との「タテ」の人間関係,そして同級生同士の「ヨコ」の人間関係ができあがっています.一定の集団秩序を守るためのルールがあります.同時に高等科生となって,いくらかの自由度も手にできるようになります.みなさんは自分を取り巻く「社会」とかかわりを持ち,自ら働きかけることもできるようになります.ここでは自分に何ができるか可能性を試すことができます.ただそこでは,望むことと実際に手に入れられるものとのギャップのあることを実感するかもしれません.ときには大いに悩むこともあるかもしれません.行動の自由度を持つことは,何でも自分の思うようになることとはまったく違うのです.みなさんが社会のミニチュア版ブラック・ボックスの中を少しばかり垣間見て,どのようなメカニズムで人間たちが共存していくのか,多くのことを経験を通して学び,自分自身を上手にコントロールできるようにする.そして自分たちと大人たちの社会との距離を定め,そこに向けて歩んでいくこと,それらがみなさんへの期待です.成功よりも,どちらかと言えば失敗から学ぶことが多くあるのではないでしょうか.ただ,それこそが大人になるということの意味だと考えます.
父母保証人の皆様,本日の入学式には学校法人学習院を代表し,波多野院長をはじめ,東園常務理事,森田常務理事,堀口常務理事が出席しております.また来賓として内藤桜友会会長,小堀父母会会長,廣永中高桜友会副会長にもご列席いただいています.私たち学習院高等科の教職員一同,心からご子息のご入学をお祝い申し上げます.高等科の3年間は何より心身が大きく成長し変化する時です.父母保証人の皆様と彼らとの距離感も変わってくることでしょう.父母・生徒・教職員が作る三角形のバランスを保つべくコミュニケーションを密にはかりつつ,彼らの成長を見守っていきたいと存じます.
学習院高等科はみなさんが未来において行動するための基礎を養う場です.さまざまな機会が提供されるはずです.その機会を生かすためにぜひ自ら一歩前へ出る気持ちを持ってください.積極性を備えて学校生活を送るならば,この3年間はかけがえのないものになるでしょう.すでに引かれたレールに乗って何も考えずに動いていくこと,あるいは既成の道を器用に歩くこと,それらは高等科の生徒たちへの期待ではありません.むしろ道のないところに道を切り拓く者になること,そちらを望みます.過去に十分に考慮されてこなかった事柄はたくさんあります.それが何であったかを見極め,新たな領域を見出すことに挑戦する,そのための準備がみなさんのテーマだと考えます.現実の壁がさまざまな形で迫ってくるでしょう.歩みが滞ってしまうこともあるかもしれません.ゆっくり時間をかけて一つ一つステップを踏みしめ,一つ一つハードルをクリアして欲しいと思います.そしてじっくり力を養ってください.
新入生のみなさんにとって高校生活が豊かなものになり,大活躍の場ができることを心から願いつつ,私の告辞とします.




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なお、入学式後に1年主管の紹介などが行われました。


入学式 科長告辞

平成23年度高等科入学式・始業式

科長告辞

学習院高等科

科長 林 知宏

 

 新入生のみなさん,入学おめでとうございます.みなさんが入学した学習院高等科は歴史を持った学校です.公には1877年,明治10年の創立です.すでに130年以上の歳月が流れました.現在ある日本の学校の中でも最も古くに作られた学校の一つです.多くの人がここで出会い,多くを学び,たくさんの思い出を胸に刻んで巣立っていきました.本日,みなさんがまた新たに歴史の一ページを加えたことを心からうれしく思います.311日の地震災害は自然の力の恐ろしさをわれわれにまざまざと見せつけました.その一方で,正門の桜は例年のように,この入学式に合わせるかのように咲き誇っています.これもまた自然がわれわれにもたらしてくれたものです.正門の桜,新入生,そして新たな一年が始まる.いつもの学習院の季節感は今年もきちんと保たれています.

 みなさんにとって311日以降,いろいろな事が変わってしまったかもしれません.われわれが直面している困難は非常に厳しく,解決しなければならない問題はあまりにも多くあります.そこからの回復・脱出を安易に想像することはできません.ただでさえ経済活動が停滞気味であったのに加えて,この国全体が行き場を見失ってしまう危険性さえあります.かつて日本は,昭和の時代に大きく経済的な成長を遂げました.皆さんのご両親が子どものころに感じることができたような社会の展望を,もはや得ることができないのでしょうか.しかしそうした行き詰まりを感じるときだからこそ,自分たちの身の丈を確認し直し,あらためて再スタートすることが必要だと私は思います.そして過去に十分に考慮されてこなかった事柄が何であったかを見極め,新たな領域を開拓することに挑戦する,そのための準備がみなさんのテーマだと考えます.例えば生活水準を保ちながらエネルギーの確保を行っていくことは,長期的には必ず視野に入れるべき問題でしょう.誰も考えつかないことや手つかずのままになっていたことを成し遂げられるならば,これほど痛快なことはありません.そんな人物にみなさんが成長して欲しいと思います.

一方で,世界に目を向けるとこの間も新たな動きがあり,注目を集めました.それは中東・アフリカの諸国で長く続いていた政権が人々の行動によって変わっていったことです.かつてのように指導者や中核になるグループもなく,自然発生的に人々が集まり,声をあげる様子には驚かされました.インターネットを含めて情報手段の変化がもたらしたものであることは多くの人が指摘しているところです.人間の力によっても国という大きな単位で,しかも急激に何かが変わっていくのです.同時にこちらも石油というエネルギー源をめぐる問題が背景にあります.そうしたことが世界の中で起きているのだということもわれわれは気に留めなければならないのでしょう.

すでに引かれたレールに乗って何も考えずに動いていくこと,あるいは既成の道を器用に歩くこと,それらは高等科の生徒たちへの期待ではありません.むしろ道のないところに道を切り拓く者になること,そちらを望みます.もちろんそれは究極の期待です.究極の手前には何段階もいろいろなことがあります.現実の壁がさまざまな形で迫ってくるでしょう.歩みが滞ってしまうこともあるかもしれません.ゆっくり時間をかけて一つ一つステップを踏みしめ,一つ一つハードルをクリアして欲しいと思います.そしてじっくり力を養ってください.

 父母保証人の皆様,本日の入学式には学校法人学習院を代表し,波多野院長をはじめ,新美専務理事,内藤常務理事,東園常務理事,森田常務理事が出席しております.また来賓として内藤桜友会会長,小堀父母会会長,北白川中高桜友会会長にもご列席いただいています.私たち学習院高等科の教職員一同,心からご子息のご入学をお祝い申し上げます.高等科の3年間は何より心身が大きく成長し変化する時です.父母保証人の皆様と彼らとの距離感も変わってくることでしょう.今まで通りの愛情を注ぎつつ,彼らの成長を見守っていただければ幸いに存じます.

学習院高等科はみなさんが未来において行動するための基礎を養う場です.さまざまな機会が提供されるはずです.その機会を生かすためにぜひ自ら一歩前へ出る気持ちを持ってください.積極性を備えて学校生活を送るならば,この3年間はかけがえのないものになるでしょう.特にここで人と人の関係を築くことは何より大事です.年齢の異なる教職員,先輩・後輩との「タテ」の関係,そして同級生同士の「ヨコ」の関係は,おそらくみなさんにとって最大の財産になっていくはずです.

新入生のみなさんにとって高校生活が豊かなものになり,大活躍の場ができることを心から願いつつ,私の告辞とします.

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入学式

満開の桜の中、入学式が行われました。
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  1年生の主管の発表
   1A 町田先生
    1B 坂下先生
   1C 岩垂先生
   1D 水野先生
   1E 下田先生

  です。








2010年度入学式が行われました

2010年度入学式が行われました。

nyuugaku9999.jpg今年度より新科長に林先生が就任されました。

nyuugaku031.jpg1年生の主管が発表されました。
         A組 會田先生、
         B組 白川先生、
         C組 大竹先生、
         D組 島田先生、
         E組 松濤先生 です。      

nyuugaku106.jpg新しい留学生の紹介が行われました。
AFS留学生のダニエル君と

nyuugaku117.jpgセントポールズ校協定留学生のネート君です。

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